【コラム】ウィリス・キャリアをご存じですか?
私たちの生活に欠かせない「エアコン」。エアコンが無い生活は、もはや現代の夏では考えられないですよね…
ところで、エアコンはどんな人が発明してくれたのだろうかとふと疑問が湧き、調べてみることにしました。
近年の猛暑。もしも、エアコンがなかったら…きっと、とんでもなく殺伐とした生活を送っていたのではないかと想像します。
貢献の大きさを考えると、ノーベル平和賞を受賞していてもおかしくないほどの偉業ではないかと思いませんか?
エアコンを発明したのは、アメリカの技術者であり発明家の ウィリス・キャリア です。
1902年、ニューヨークの印刷工場で湿度による紙の変形を防ぐため、温度と湿度を調整する装置を開発しました。
この装置は、快適さのためではなく「印刷品質を守る」ためのものでしたが、やがて劇場やデパート、そして家庭へと広がり、現代のエアコンの原型となりました。
キャリアは「近代空調の父」と呼ばれ、1915年には自身の会社「Carrier Corporation」を設立。彼の技術は、都市の発展や働き方にも大きな影響を与えました。
キャリア氏は1876年、ニューヨーク州アンゴラに生まれ、1901年にコーネル大学で機械工学の学位を取得。
卒業後はBuffalo Forge社で技術者として働き、空気調和装置の開発に取り組みました。
1911年には空調理論を体系化した論文を発表し、空調技術の基礎を築きます。
その後、自身の会社を通じて空調技術を世界に広め、1930年には日本にも進出。晩年まで技術革新に情熱を注ぎ、1950年に73歳で生涯を終えました。
一方、日本でエアコンが登場したのは1932年。
アメリカから輸入されたルームクーラーが最初で、1935年には国産モデルも登場しましたが、当時は業務用が中心で、家庭には普及していませんでした。
日本初の家庭用国産ルームエアコンが登場したのは1961年
東芝(当時:芝浦製作所)が開発した「セパレート型エアコン」室内機と室外機が分かれた構造で、設置の自由度が高く、家庭への普及を後押ししました。
これを皮切りに、ダイキン、三菱電機、日立、パナソニックなどの国内メーカーが次々と参入し、技術革新が進みます。
エアコンが本格的に普及し始めたのは、高度経済成長期(1965〜1970年)
この時代、「3C(カラーテレビ、クーラー、カー(自動車))」と呼ばれる耐久消費財が急速に広まり、生活様式が大きく変化しました。
1970年代には家庭への設置が進み、1990年代には普及率が80%を超え、現在では90%以上の世帯がエアコンを保有しています。
今回のコラムを機にエアコンの仕組みについても少しだけ調べてみました。
水が凍る・溶ける・蒸発する。小中学校の科学で習った内容を応用してあることを知りました。
この法則を見つけ、空調にまで結び付けていったキャリア氏の発明が、私たちの暮らしにこれほどまでの影響を与えていることに驚かされます。
かつては贅沢品だったエアコンも、今では生活必需品。特に近年の猛暑は、もはや「夏の風物詩」ではなく、命に関わる厳しさとなっています。
エアコンなしの生活は現実的ではないと言っても過言ではありません。
涼しい空間で過ごせることに感謝しながら、エアコンの裏にある技術者の情熱と、時代を超えて進化してきた空調技術の物語に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか? GHRグループ E.K